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《聖セシリアの肖像》終演に寄せて

《聖セシリアの肖像──音楽の守護聖人を祝福して》
11月22日、代々木公園Pachetart様にて無事終演しました。
演奏者とお客様とで、ともにヘンデルの見せる光を追う…言葉では表せない会偶に感謝します。

オードをサロンコンサートで扱う無謀な試み、ヘンデルの音楽なのだからふつうに考えればチェンバロを選ぶべきでしたが、オーケストラと楽器それぞれの表情を検討してピアノを選ぶことにしました。(浅学な発想かもしれません。。)
たくさんの制約があり、そもそも歌ひとりではオードの物語を描ききれず、結末はプログラムノートの寄稿に頼るほかありません。どこをとっても軟派な企画でしたが、それでも、アリア単体の演奏ではなくオード作品として演奏会にしたかったのです。

この作品を知ったとき、“But, Oh! What art can tearch”のオルガンに滲む慈愛に涙がとまらず、初めて聖人という存在のかたちをくっきりと心に捉えました。音楽が肖像をもたらす経験は神秘的で、古に霊感の出どころとなる力を持った音楽への畏怖を、少しでもお客様と分かち合いたいという願いを胸にしました。

作品を誠実に象ってくださった実季奈ちゃん、赤ちゃんがお生まれになる時期が演奏会と重なってしまい、延期にしたってよかったのに、凄まじい自律と尽力のもと、予定通りに実現させてくださいました。彼女の脅威的な精神力は間違いなく演奏に霊力を宿し、リハーサル中から息を飲む空気…。素晴らしいお仕事に人生の宝物をいただきました。

実季奈ちゃん、関わってくださった方々、そしてお運びくださいましたお客様やお心を寄せてくださいました皆様へ、心より感謝申し上げます。ありがとうございました。