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保育と古楽

こんにちは、広瀬美句です。
2月が始まり少しずつ春の兆しを感じるこの頃です。
皆様にはお変わりなくご健勝のことと存じます。

すこし日をさかのぼりますが、昨年12月23日に社会福祉法人 相友会 諏訪保育園様にて、ミンネの部屋による古楽演奏会をさせていただきました。
園長の島本先生は子どもたちの感性や創造性といった心の豊かさに信頼を注ぎ、子どもの自主性を大切にする保育を信条に掲げる、あたたかく繊細な御心の先生です。島本先生ご自身も音楽を演奏し作曲までなさるとのことで、このたびは“チューニング”を横糸とし、古楽と保育の邂逅を楽しむひとときをご提案いただいたのでした。

(演奏動画より抜粋。プライバシー保護のため一部加工しております。)

古楽とはピアノが誕生する前の音楽です。
ピアノの調律を軸とした現代主として用いられる“音と音の距離”は古楽に於けるそれと異なっています。
「(主として定義される)ドレミファソラシドの間の音も聴かせたい」という園の先生方の思いと古楽が持つ音律を重ねた、挑戦のような企画でした。

モンテヴェルディやフレスコバルディなどイタリア歌曲をプログラムに選び、大人たちは子ども相手に成立するのかヒヤヒヤだったかと思いますが笑、結果は大団円の笑顔で終わることができました。

異国の言葉を壁とせず「(言葉を聴きたいから)もっとゆっくり歌って!」と熱いコールをくれた子
手もとの楽器で必死に音楽に加わらんとする子
チェロの響きの振動を感じるために近くまで来る子
バロックギターの優しい音色にじっと耳を傾け続ける子・・・・
それぞれの受け取り方の、なんと豊かなことでしょう!

大人がむずかしがる古楽の音を、子どもたちは屈託なく感受します。
やわらかく、軽やかに。
その熱い姿勢に自分自身が巻き取られるようにして、自分から出ていく歌声が思いも寄らない色をしていることに、おどろきながら歌いました。
演奏は目の前の相手に呼応して変化するものとは思っていましたが、こんなにもはっきりと体感できたことは初めて。思いがけず子どもたちから教えていただいたのです。

人と音の出会いはどんな瞬間も尊い。
そんな大切な機会に自分達の演奏を差し出させていただけた幸福、いただいたご縁に、心から感謝します。

諏訪幼稚園様とは今後も楽しいご縁が結ばれていく模様です♪
またご報告させていただきますね。